寝る前によくおもうこと

意識低い系なので安心して読んでほしいです。

曇り空でも、こんな星の夜は、と歌いたい。

 

なんとなくいいなと思っている人に誘われればすぐに寝てしまい、その日から、なんとなくいいながとってもいいなに変わり、とてもあなたは魅力的に見えて、気付けば目で追っている。どんな内容でも、話しかけられれば胸が躍る。平気な顔して受け答えをしているけれど、心拍数は上がっているし、話終えた後はほのかにほっぺたも紅くなっている気がする。身体が少し熱い。

他の女の人と話している時、ばれないように、何かの行動の流れであるということを装ってその人のことを見る。無邪気な声で笑っている。楽しそう。なんだか気が焦る。今していることが少し疎かになり、あなたたちの様子が気が気でない。

私も他の男の人と話す、笑う。ふと、まあこんなもんかと思う。深い意味はない。

またあなたが女の人と話しているのを見かける。ふたりの距離感、あなたの立つ位置、女性の座る位置、ふたりの表情。やはり、気が気でない。

 

その後、何度か寝る。楽しい話をして、ふたりで声を揃えて笑う。あなたは私をいちばんきれいだし楽しい人だと言ってくれる。相性もとても良く、ハマってしまいそうだとも言ってくれる。普段私が目で追っているあなたがそんなことを言ってくれるなんて、とても有難いことだ。

「好き」は聞いたことがない。

 

 

あなたと他の女の人は、3ヶ月程前に付き合っていたらしい。あなたが教えてくれた。他の女の人は、小さくて華奢で顔立ちも洗練されている。とても優しい人で、私は好きだった。

手首を切りかねない危うさがある人だから、別れてはいるけど、俺に依存しているだけだ、好きとかではないと思う、でもお前に迷惑がかかりそうだし、お前は、他の女の人が腕を切ったりしたら落ち込むような人でしょ?、だから本当のことを伝えようと思った。黙っててごめんね。と言われた。

他の女の人は実はよく見ているから、この俺との通話の履歴も、一応消してほしい、ごめんね。と言われた。

あなたは2回も謝った。

わかりました、と言って私はばれないように、少し泣いた。

 

他の女の人には、結局敵わなかった。あなたは私のためだと言ってくれていたけれど、私は他の女の人のために、通話履歴を消さなきゃいけないような、連絡を頻繁にしない方がいいような、方面が一緒で偶然会えば一緒に帰っていることさえも言ってはいけないような、私はそんな人だったのだ。

 

表面では気にすることをやめて、目で追ってしまうことも意識してしないようにした。あなたと他の女の人が話しているときは、心を無にして何も考えないようにしたし、話にも入っていかないようにした。あなたにもあまり話しかけないようにした。私は、きっと他の女の人はまだあなたのことが好きなのだろうと思っている。

 

私は、とってもださい女だ。

 

あなたとふたりで会うことは最近していない。こちらから連絡はしない。履歴を消さないといけない人間だから、ハナからしないのです。

 

なんとなくもう、あなたにも避けられているような気さえする。

「好き」とは聞いていないので、それでも全く問題はないのです。

 

勘違いも、甚だしい。

私は、あなたが私のことを好きなのかもしれないと思っていました。

 

駅前まで久しぶりに一緒になったけれど、あなたは、用事があると言って消えてしまった。方面は同じ、乗る電車も同じ、私は久しぶりにあなたとふたりで帰れると思って浮き足立っていたので、笑顔であなたの背中を見送り、ひとりで改札に入っていく自分のことが恐ろしく滑稽に思えた。

 

まあ、こんなものか。

こんなものなのだ、私は。

 

 

 

ひとりで乗った電車を降りて、歩きながら少しだけ空に目線をやってみる。酷い曇り空。

これもまた、こんなものだ。

星空が広がっていれば、この滑稽な私も少しは救われるかもしれないと思いますが、漫画やアニメではないので、こんなものなのです。上に拡がるのは曇り空なのです。

 

なんだか色々込みで、こんなものなのか私は、と思いながら家までの道を歩く。

なんとなく、歌ってみる。大通りを走っていく車たちがうるさいので、気にせずそこそこの声で歌ってみる。そして歌っても、どうにもならなかった。

道路では死にかけのおっさんみたいな人が向こうから歩いてくる。俺は避けないぞ、という強い意志を持って歩いてくる。近づいたとき、私は避ける。足が水溜りに入ってしまう。少し水が中に染みた。

 

そんな人間なのだ。こんなものなのだ。

 

残りの道も、歌いながら帰った。

そうしたら家に着いた。それだけだった。

 

 

この地球上には、こんなもの、が、今この瞬間にいくつ生まれているのかなと思った。

きっと、こんなにこんなもの、な時間を過ごしているのは私だけではないんだろうな。

 

こんなもの、な時間を過ごしている君たち全員に、愛しているを伝えたい。